甘いものを食べた後、歯がしみたり痛んだりした経験はありませんか。こうした症状の背景には虫歯が関係している場合があります。
しかし、虫歯がなぜ起こるのか、どのように歯に影響を与えるのか、知らない方も多いでしょう。
虫歯は、日常生活の中で誰もが直面する可能性のある身近なトラブルです。実は、虫歯の発生には歯の構造や口腔内の環境が大きく関わっていると考えられています。
本記事では虫歯について網羅的に解説をします。ぜひ治療時の参考にして下さい。
虫歯とは何か
虫歯とは、正式にはう蝕(うしょく)と呼ばる疾患です。歯の表面や内部が、細菌の働きによって徐々に溶かされていきます。主な特徴として、歯の表面に白濁や黒ずみが現れ、進行すると痛みやしみる症状が現れます。
ただし、初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。
虫歯が発生する仕組み
虫歯は、ミュータンス菌などの細菌が糖分を分解して酸を作り出し、この酸が歯の表面のエナメル質や内側の象牙質を溶かすことで発生します。
特に間食や砂糖の摂取が多いと、口腔内が酸性に傾きやすくなり、虫歯のリスクが高まります。適切な歯磨きやデンタルフロスの使用、食事内容の見直しが虫歯予防に効果的です。
虫歯と歯の構造の関係
歯はエナメル質、象牙質、歯髄(神経)の三層構造です。虫歯はまずエナメル質から始まり、進行すると象牙質、さらに歯髄へと達します。進行度によって治療法も異なります。
ごく初期の歯を削る必要のない虫歯であればフッ素を塗ることで、歯の表面が自ら修復する力(再石灰化)を助けることができますし、削る必要のある虫歯でも初期であれば樹脂の詰め物で対応できます。
しかし、中等度以上になると、傷んだ神経を取り除き消毒する治療(根管治療)や補綴治療(被せ物、詰め物など)が必要となる場合があります。
虫歯の主な原因とリスク要因
ここでは、虫歯の主な原因やリスク要因について、具体的なメカニズムや背景を踏まえて解説します。
虫歯菌とプラークの役割
虫歯の発生には、ミュータンス菌などの虫歯菌が深く関わっています。これらの細菌は歯の表面にたまったプラーク(歯垢)の中に潜み、糖分を分解して酸を作り出します。この酸が歯の表面にあるエナメル質を少しずつ溶かし、虫歯が始まります。
プラークは毎日の歯磨きで落とせますが、磨き残しが多ければ細菌の温床となり、虫歯のリスクは一気に高まります。
糖分摂取と虫歯の関係
砂糖や炭水化物は虫歯菌のエサになります。特に甘い飲み物やお菓子を頻繁に口にする習慣があると、口の中は長時間酸性の状態となり、歯が溶けやすくなります。
間食の回数や甘味料を含む飲み物の摂取頻度を減らすことは、虫歯予防に欠かせないポイントです。
唾液の働きとリスク
唾液には、口の中を中性に戻す働きや、溶けかけた歯を修復する「再石灰化」の作用があります。
しかし、ストレスや服薬の副作用、加齢によって唾液の量が減ると、虫歯にかかりやすい環境が整ってしまいます。唾液が十分に出ていないと感じる方は、虫歯のリスクが高まっている可能性があります。
生活習慣や遺伝的要因
不規則な生活や睡眠不足、喫煙習慣なども虫歯リスクを高める要因です。また、歯の質や唾液の性質といった遺伝的な体質も無視できません。
例えば、エナメル質や象牙質が弱い歯の持ち主や、唾液の分泌量が少なく緩衝能力が低い体質の方は、虫歯になりやすい傾向があります。