ここでは、ワイヤー矯正や表側・裏側矯正と比較しながら、治療後の保定期間についても詳しく解説します。
ワイヤー矯正との治療期間の違い
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーで力を加えて歯を動かす方法です。一般的にマウスピース矯正は、軽度から中等度の症例であれば6か月から2年程度とされ、ワイヤー矯正とほぼ同等か、やや短い場合があります。
これは、マウスピース矯正が歯の移動計画をデジタル設計し、段階的に効率よく歯を動かせるためです。
ただし、重度の不正咬合や抜歯を伴う症例ではワイヤー矯正の方が適している場合もあり、期間が長くなることもあります。
表側矯正・裏側矯正との比較ポイント
表側矯正は歯の表面、裏側矯正は歯の裏側に装置を装着する方法です。治療期間自体はマウスピース矯正と大きな差はありませんが、裏側矯正は装置の調整が複雑なため、やや長引く傾向があります。
マウスピース矯正の期間が延びる主な理由と、それぞれのケースでどのような対策や相談が有効かを詳しく解説します。
装着時間が守れない場合の影響
マウスピース矯正では、1日20〜22時間以上の装着が推奨されています。装着時間が不足すると、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びる原因となります。これは、歯が動く際に歯根膜という組織が圧力を感知し、骨の吸収と再生が起こる仕組みが関係しています。
装着時間が短いと、このサイクルが途切れ、歯の移動が遅くなるのです。ご自身の生活リズムに合わせて装着時間を確保しにくい場合は、歯科医院で具体的な対策やスケジュールの相談を行うことが大切です。
歯の動きが遅い・計画外の調整が必要な場合
個人差により歯の動きが遅い場合や、予期せぬ歯の位置ずれが生じた場合には、追加のマウスピース作製や治療計画の再調整が必要になることがあります。
特に歯の根の形状や骨の硬さ、過去の治療による歯の状態が影響する場合もあります。
虫歯や歯周病などの口腔トラブルが発生した場合
治療中に虫歯や歯周病が発生すると、矯正治療を一時中断し、虫歯や歯周病の治療を優先する必要があります。
マウスピース矯正中は装着時間が長いため、唾液による自浄作用が低下し、虫歯・歯周病リスクが高まる傾向があります。正しい歯磨きやデンタルフロス、歯間ブラシの使用、定期的な歯科衛生士によるプロフェッショナルケアが重要です。
マウスピース矯正の期間を短縮するためのポイント
具体的な実践方法や注意点について詳しく解説します。
装着時間を守るためのコツ
マウスピース矯正では、1日20~22時間以上の装着が推奨される場合が多いですが、食事や歯磨きの際に外す必要があるため、つい装着時間が短くなってしまうことがあります。装着時間が不足すると、歯の移動が遅れ、治療期間が延びる原因となります。
装着時間を守るためには、食事や間食のタイミングをまとめる、外した際はすぐに再装着するなど、生活リズムに合わせた工夫が大切です。スマートフォンのアラーム機能や専用アプリを活用し、装着時間を記録する方法も有効です。
定期検診と歯科医師の指示を守る重要性
矯正治療中は、定期的な検診を受け、歯科医師からの指示を正しく守ることがスムーズな治療につながります。
歯の動きやマウスピースの適合状態を確認し、必要に応じて治療計画の微調整を行います。特に、歯周病や虫歯がある場合は、治療を優先し、口腔内環境を整える場合もあります。
また、審美性や発音への影響、装置の清掃性なども選択時の重要なポイントです
治療後の保定期間の比較
矯正治療後は、歯が元の位置に戻ろうとする後戻りを防ぐため、保定装置(リテーナー)の装着が必要です。
保定期間はマウスピース矯正、ワイヤー矯正、表側・裏側矯正いずれも1〜3年以上が一般的ですが、症例によってはさらに長期間の保定が推奨される場合もあります。